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【3月15日】2009年(平21) 

 【日本6―0キューバ】勝敗のポイントは過去の成功体験にすがらなかったことだった。米国時間15日(日本時間16日)、第2回WBCの2次リーグ1回戦、2連覇を狙う日本は初戦で第1回大会の決勝の相手、キューバと激突。接戦、あるいは日本不利との予想を一蹴、6―0で快勝した。

 日本のマウンドに立ったのは過去キューバに、真っ向ストレート勝負を挑んで2勝した松坂大輔投手(ボストン・レッドソックス)。キューバは最速164キロ左腕、21歳の若きエース・チャプマン。本格派同士の投げ合いが期待されたが、松坂の配球パターンは3年前とガラリと変わっていた。

 「キューバも研究してきたはず。前に勝ったからといって同じ投球は通用しない」。松坂と城島健司捕手(シアトル・マリナーズ)の一致した考えから導き出されたのは、「的を絞らせない」ことだった。

 松坂が利用したのは「キューバの打者の積極性」だった。ストレートを果敢に打ってくるキューバの打者に「抜いた直球」(松坂)を多投。ボール1個分程度動くカットボールを内角に集めて、バッティングポイントをずらしていった。

 日本が3回に、暴投と3番・青木宣親左翼手(ヤクルト)の適時打、4番・村田修一三塁手(横浜)の犠飛で3点を先取すると、松坂は次の手を繰り出した。

 「最初のうちにインコースを意識させることができたので、結構開いて打ってくる打者が増えた。今度は外を意識してスライダーを投げた」と松坂。キューバの打者は1巡目とは違う攻めに混乱した。スライダーに加え、この日のために磨いてきた外角のボールからストライクになるシュートを解禁。的を絞らせない投球の仕上げは、6回2死。4番・ペラサを解禁したてのシュートで追い込み、最後はスライダーで空振り三振に仕留めた。

 球数制限のため、この回で交代した松坂は6回86球5安打無四球。最速は151キロが1球あっただけだが、8個の三振を奪い、もちろん無失点。「結果的には自分の思い通りに投げられた」という圧巻の投球で後続の投手に勝利を託した。

 松坂が的を絞らせなかったのとは逆に、日本の各打者は的を一点に絞ってチャプマンを3回途中でつぶした。「直球だけを狙え」。この指示に各打者徹した。「ストレートは速いが、変化球はほとんどボールになる」というスコアラーの分析が決め手だった。さらに最速164キロといっても、カウントを整えるためにストライクを取りに来るボールは遅くなり、セットポジションでは140キロ台になる、という報告が各打者にチャプマンは打てるという勇気と自信を与えた。チャプマンの被安打は3ながらこれをすべて得点につなげた日本は、その後もキューバの投手陣の真っ直ぐに打ち負けず12安打6得点。4投手のリレーで快勝した。

 チームリーダー、イチローは内野ゴロで打点1も5打数無安打。それでもチーム一丸となって強敵に完勝したことに上機嫌。「つまらないけど良し」と言って、V2への大きな1勝ち満足げに球場を後にした。


【2010/3/15 スポニチ】
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