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 日本ハムからFA宣言していた小笠原道大内野手(33)が4日、巨人と正式契約を結んだ。広沢、清原、江藤…巨人が他球団の主砲をFAで引き抜くのは長嶋監督時代以来の懐かしいパターンだが、過去は散々な失敗の歴史だ。小笠原だけが例外となるのだろうか? トレードマークのヒゲを剃り落とし、野武士から童顔に戻った男を襲う“3つの呪縛”とは-。

 【歴史は繰り返す】

 「やってみないとわからないが、今までの先輩たちも決して失敗じゃなかった。少なからず良い影響があったと思う。自分も自分なりに少しでも貢献できれば、それでいいと思う」。小笠原はこう反論した。過去にFAで巨人に移籍してきたスラッガーはことごとく額面通りの活躍ができなかった。そこをどう思うか、と報道陣から聞かれたときだ。

 確かに数字がすべてではないが、個人成績を手がかりに批判されるのは巨人選手の宿命。41歳で巨人入りした落合(現中日監督)は初年度の94年、打率.280、15本塁打、68打点と4番としてやや物足りなかったが、FA入団組としては良い方。翌95年の広沢は打率・240で期待を裏切った。97年の清原は、32本塁打はともかく、打率.249がひど過ぎた。00年の江藤も打率は.256。いずれも末路は寂しかった。

 巨人OBの須藤豊氏(夕刊フジ評論家)は、「小笠原にとっては、マスコミ対策が意外に大きなポイントになるのではないか」と指摘する。

 「巨人が負けると、誰かが“戦犯”にされてしまう」と話すのは、阪神打撃コーチに就任した広沢氏。清原は初年度開幕直後の不振で猛バッシングが巻き起こると、「おれが人殺しでもしたというのか」とうめいた。

 江藤(現西武)は、内角球への弱さを再三報じられると、「意識していなくても、毎日『弱い、弱い』と言われたら意識過剰になってしまうよ。あなただって、自分で良いと思って買ったコートでも、他人に『変だ、変だ』と言われ続けたら、着たくなくなるでしょ」と、記者にこぼした。

 【押し寄せる重圧】

 小笠原の入団会見は、身内の日本テレビが夕方のニュース番組「リアルタイム」で異例の生中継を行った。

 会見終了後、小笠原はその足で同番組に生出演。いきなりのVIP待遇に、並々ならぬ期待がうかがえる。が、それに比例し、FAの呪縛も強まるばかりだ。

 アマ時代に目立った活躍のない“たたき上げ”で、にわかにアジアNo.1に輝いた今季はともかく、注目度の低い日本ハムで10年を過ごしてきた小笠原は、未経験のプレッシャーと戦う。

 小笠原にとって重圧となるのは、マスコミとG党の目だけではない。「小笠原は律義な男だけに、札幌のファンに申し訳ないという気持ちがぬぐえないようで、気の毒なほど」(親しい球界関係者)との声がある。

 実際、この日も「今年のことをズルズル引きずっていても始まらない。忘れることはないが、しっかり自分の奥底にしまい込んで、前を向いてやっていきたい」と述懐する小笠原の表情には悲壮感がにじんでみえた。

 【意外に気弱?】

 第3に、やはり懸念されるのが、巨人の伝統に合わせてトレードマークのヒゲを剃り落とした点。「個人的には残念。小笠原自身、もともとヒゲにこだわりがないと聞いてはいたが、それにしても巨人入団に合わせてここ数年の習慣を変えた行為自体が心配。重圧の大きい巨人で今後、自然体でやっていけるのだろうか」(民放関係者)と見る向きも。

 打撃は申し分ない。アトランタ・ブレーブスの大屋博行スカウトは、「メジャーにこそ縁がなかったが、セ・リーグの野球にも問題なく順応するでしょう。ミスター・フルスイングと呼ばれるが、実は年々コンパクトになり、確実性が増している。何より身体能力、技術が高く、清原らとは違う」と評価する。だとすれば、精神面以外に死角はないが…。

【2006/12/5 ZAKZAK】
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