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 プロ野球セ・リーグは28日に開幕する。焦点は、大幅補強でリーグ2連覇を狙う巨人に他球団がどう立ち向かっていくかだ。各球団の戦力を分析した。

阪神 安定感ある投手陣

 昨季は規定投球回数に達した投手がおらず、苦しい台所事情での戦いだったが、今季は先発陣がそろった。

 故障に苦しんだ安藤と福原が復調。下柳、ボーグルソンらも順調な仕上がりぶりだ。新加入組では、金村暁(前日本ハム)が左太ももを痛めて出遅れるものの、日本野球への適応力を見せるアッチソンは計算できそうだ。加えて3年目の岩田が急成長し、貴重な左の先発枠を確定した。ウィリアムス、久保田、藤川の救援トリオは健在。それだけに投手陣には昨年以上の安定感が期待できそう。

 チーム打率、得点とも12球団最低だった打線は新井(前広島)の加入で厚みを増した。復活を目指す今岡が刺激を受けるなど、相乗効果は高い。オフに左ひざを手術した金本も開幕に間に合いそうで心強い。ただ、織り込み済みとはいえ夏場に新井、藤川ら主力が五輪へ派遣される可能性が高く、それを見越したチーム編成が鍵になりそうだ。【和田崇】

横浜 抑えが最重要課題

 各ポジションで堅実に補強し、若手を育成してきたが、計算通りにはなかなか事は運ばない。昨季11勝の三浦、12勝の寺原に次ぐ右の先発として期待が高かった2年目の高崎が思うような結果を残せておらず、大矢監督は「簡単に打たれ過ぎる」と苦言を呈している。左は、昨季開幕から5連勝しながら、故障で7勝止まりだった土肥がシーズンを通じた働きができるか。  

 中継ぎは、加藤がやや出遅れた感があるが、左肩手術の影響で2軍で調整していた那須野が復帰したのは好材料。クルーンが抜けた抑えが最も大きな課題だ。新外国人ヒューズが務めることになりそうだが、実力は未知数で不安は残る。 

 打線は、昨季15盗塁の野中のほか、大西や小関らの加入で機動力を生かした攻撃が増えそう。一発は、昨季本塁打王の村田頼みだとしても、金城、佐伯、吉村らのシュアな打撃と絡めば、得点力アップは期待できる。【村田隆和】

中日 中継ぎに中里名乗り

 昨季チーム最多62試合登板の中継ぎの柱・岡本が抜けた。穴埋め役に期待されているのが高卒8年目の中里。150キロ超の速球を武器に将来の先発に期待されたが、肩の故障にも泣き、通算2勝と伸び悩んでいた。今季はキャンプから「ポスト岡本」に名乗りを上げた。オープン戦で連投もテスト。抑えの岩瀬につなぐ役割を担う中里がチームの浮沈の鍵を握る。   

 先発は川上、朝倉、中田、小笠原に加え、足の故障で出遅れた山井に代わって、オープン戦15回連続無失点の吉見の起用が有力。200勝まであと7勝の山本昌、左腕・チェンも控える。

 野手は荒木、井端が攻守に核となり、ウッズ、中村紀、李炳圭の中軸打線にFAで和田が加入。故障していた森野も開幕に間に合った。とはいえ、福留不在の外野守備にはやや不安が残る。

 北京五輪で主力の離脱期間中は、平田や西川ら若手野手の活躍が期待される。【村社拓信】

広島 長打力低下は不可避

 10年連続Bクラス。抜け出すためには投手陣が鍵。黒田の穴を新戦力がどう補っていくか。  

 ルイスは球威があり、昨季9勝の大竹と2本柱を形成しそう。19歳右腕の前田健はオープン戦で好投を続け、開幕ローテーション入りを確実にした。先発候補はこの3人に加え、長谷川、高橋、宮崎、青木高と頭数はそろう。課題は抑え。昨季4勝31セーブながら7敗と安定感を欠いた永川がオープン戦で不調。コズロースキーが代役を務めるものの、未知数だ。

 野手では昨季3割1分、92打点を記録した栗原が順調なのが心強い。成長株は7年目の俊足・天谷。打撃面で成長を見せており、定位置を奪えば外野陣の守備力や機動力も増しそうだ。一方、シーボルは阪神へ移籍した新井ほどパワーはなく、長打力低下は避けられそうもない。打線のつながりが得点力を左右しそうなだけに、梵、東出らの奮起が求められる。【新井隆一】

巨人 補強で投手層に厚み

 昨季チーム防御率リーグ2位の投手陣は、16勝で最多勝のグライシンガー、31セーブのクルーンの加入で厚みを増した。先発復帰しシュート取得で投球の幅が広がった上原、グライシンガー、開幕先発最有力の高橋尚、レッドソックスとのオープン戦で5連続三振を奪った内海には2けた勝利の期待がかかる。 

 課題は安定感に欠ける中継ぎで、駒の少ない左に不安を残す。

 昨季、ともに12球団1位の打率2割7分6厘、191本塁打を誇った強力打線に今季はラミレスが加入。2番に二岡、7番には谷が入るぜいたくな布陣だ。巨人では松井秀(ヤンキース)以来14年ぶりの10代開幕スタメンが確実な19歳坂本には勢いがある。

 オープン戦は主力の合流の遅れもあり、36年ぶりの単独最下位に沈んだ。6年ぶりの日本一奪回へ向け、原監督は「(開幕の)28日からは勝ちに行く野球をやる」と意気込む。【立松敏幸】

ヤクルト 若手投手に戦力候補

 若手投手に楽しみな存在が多い。2年目の増渕はオープン戦で150キロを超す速球をマーク。勢いのある球に加え、ピンチでも冷静な投球が目に付いた。「マウンドで考えることができるようになった」と、精神面で成長を遂げた様子で、先発ローテーション入りを確実にした。    

 3年目の左腕・村中も伸びのある直球を主体に、ブレーキの利いたカーブで打者に的を絞らせない。開幕投手が確実な石川とともに、左の先発の柱になりそうだ。

 昨季、韓国球界で最多の22勝を挙げたリオスも制球が安定している。オープン戦ではボークを連発したが、日本の野球に慣れれば、巨人へ移籍したグライシンガーの穴は埋めることができそう。

 ラミレスが抜けた打線は小粒な印象が否めない。青木、ガイエル、リグスらの中軸に絡む1、2番、あるいは下位がいかに上位につなげるか。世代交代の難しさにも直面している。【村田隆和】

【2008/3/27 毎日新聞】
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