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 15日に行われる阪神の新人入団発表で、新たに7選手がタテジマのユニホームに袖を通すが、うち野原祐也外野手(北信越BC富山)、吉岡興志投手(常磐大)、藤井宏政内野手(加古川北高)の3選手が「育成選手」だ。2005年の制度導入当初、獲得には消極的だった阪神が、来季はこの3人を含め総勢8人をかかえる。方針転換ともいえる“積極採用”にいたった要因のひとつに、ライバル巨人の成功例が挙げられる。(三木建次)

 育成選手が出場できる公式戦は2軍の試合のみで、1軍に昇格するには支配下登録選手に入らなければならない。もともと育成選手は社会人野球の休廃部が相次ぐ昨今、将来有望な選手のプレーする機会を増やす目的で制度化された。しかし、阪神は受け入れ態勢が整っていないという理由のほか、過去に「練習生」という名目で有望アマ選手を囲い込んだ「過ち」を繰り返すことにつながりかねないと、制度には反対の立場だった。

 しかし、それから3年、阪神は変わった。昨年の育成ドラフトで田中慎太朗内野手(立正大)を初めて獲得したのに続き、今秋は野原、吉岡、藤井の3選手を指名。さらに前日本ハムの中村泰広(07年まで阪神に在籍)、前ロッテの木興拓哉両投手とも育成選手契約し、支配下選手登録から外した辻本賢人投手、森田一成内野手を加えると8人もの大所帯に。

 支配下登録選手は最低年俸が440万円に対し、育成選手の場合は240万円。しかも今季、他球団では多くの育成選手が退団するなど、厳しい環境であることは間違いない。ただ、ユニホームを着れば、実力がすべての世界。「育成枠といっても2軍戦には出場できるし、練習メニューも同じ。田中なんて、ほかの2軍の選手よりもよく練習する。ダメなら1年でクビをきられる、というハングリー精神かな。(支配下選手に)あと一歩のところまできている」と平田勝男2軍監督。

 昨春のキャンプで入団テストに合格、「育成」からスタートしたバルディリス内野手がシーズン途中、支配下選手登録されて1軍で活躍した例もある。なにより、阪神が制度の積極採用に傾いたのは今季のセ・リーグ新人王の存在が大きい。育成選手として巨人に入団し、3年目の今季、中継ぎで11勝2セーブの数字を残してリーグ優勝に貢献した山口鉄也投手だ。阪神は今季、天王山となった10月8日の巨人戦(東京ドーム)で、この左腕に好救援を許して首位から転落するという憂き目に遭っている。

 阪神の黒田昌宏編成部長は「正直いって、山口がここまで大化けするとは思わなかった。彼がいなければウチはリーグ制覇していただろう。アマチュア時代の実績では、プロは無理かな、という選手でも、なんらかのきっかけで伸びる選手がいるということがわかったよ」と打ち明ける。

 近い将来、球団のもくろみが当たり、満員の甲子園球場でプレーする選手が現れるか。

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 ■他球団の育成選手
 育成選手を積極的に獲得しているのはセ・リーグでは巨人、パ・リーグではロッテだ。巨人は新入団の4人を合わせて来季は10人態勢。ロッテは今秋の育成ドラフトで8人も指名しており、現有勢力と合わせると14人にものぼる。西武、日本ハム、オリックスはひとりも在籍していない。
 今季、育成から支配下登録されたのは7人。阪神のバルディリス内野手、巨人の隠善智也外野手、楽天の中村真人外野手、内村賢介内野手らが1軍で活躍した。


【2008/12/10 産経新聞】
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