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ワールドカップ(W杯)最終日(9日・ベルリン)
イタリア-フランスの欧州勢対決となった決勝は、フランスのMFジネディーヌ・ジダン(34)が、まさかの一発退場、“伝説”の最終章を自ら汚した。現役最後の試合として臨んだイタリアとの決勝戦の延長後半5分、相手DFマルコ・マテラッツィ(32)に頭突きを食らわせ、レッドカード。前半7分には、PKから先制点を決めたが、チームもPK戦で敗れ、ジダンのラストダンスは最悪の形で幕を下ろした。10日には、大会MVP受賞が発表され、皮肉にもジダンに決まった。
誰しもが期待したジダンの美しいラストダンスは、予想もしない形でエンディングを迎えた。
延長後半5分。攻撃から守備に切り替わった際、マテラッツィと話しながら、自陣へと足を向けた。初めは、愛想笑いを浮かべていたが、最後に短い言葉を吐かれ、プッツン。人間ロケットを発射するような体勢から、マテラッツィの胸板へ頭突きをさく裂。マテラッツィはもんどり打って倒れる。主審は、副審からの指摘を受けた上、レッドカードを掲げた。
ジダンは、ピッチに用意されたW杯トロフィーには目もくれず、その脇を通ってピッチを去っていった。後ろを振り返ろうとしないジダンの、その目には涙がにじんでいた。そして、無言のまま会場を後にした。
前半7分、PKからGKのタイミングを外す技ありシュートで、先制点を奪った。ブラジルと対戦した98年大会の決勝でも2得点。2度のW杯決勝で得点したのは過去、ペレ、ババ(ともにブラジル)ブライトナー(西ドイツ)の3人しかおらず、ジダンは4人目に名を連ねた。一度は代表を引退しながらも、母国のピンチで代表に復帰。年齢にあらがいながらも、栄冠へあと一歩まで迫った。
すべてを台無しにする暴挙だった。ドメネク監督は「ジダンのレッドカードは1つの転機だった。マテラッツィが何と言ったかわからないが、彼こそがマン・オブ・ザ・マッチだろう」と皮肉まじりで話すのが精いっぱいだった。
ジダンは02年大会をはじめとして、「突然、切れる」ことがあった。その悪癖が最後の晴れ舞台で出てしまった。表彰式にも姿をみせなかったジダン。伝説となるべき選手のラストプレーは、あまりに悲しいものだった。
【2006/7/11 デイリースポーツ】
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