close
4億一発サインで残留決断



 来季、球団生え抜き選手では最高額の推定年俸4億円で一発サインした阪神・藤川球児投手(28)。これまで球団に訴えてきたポスティングによるメジャー移籍については今回、脇に追いやってまでチームに残留を決断したが、実は、その最たる理由に、あの人の大号令があった。



 やはりポスティングでヤンキースへ移籍した井川慶投手の代理人、橋岡宏成弁護士に昨年から依頼し、“井川に続け”の姿勢を明確にしている藤川。だが、16日の更改交渉では働きかけすらしなかった。



 「『巨人に勝ちたい』という同じ志を持った人がいて、来季はほとんど変わらないメンバーでやれる。自分でこうやった方が生きてて楽しいんじゃないかと」



 あまりの豹変だが、実は伏線があった。選手会納会などの会合があるたびに、大先輩・金本知憲外野手(40)が来季への思いを熱く語り、「来年は巨人を倒して日本一になる。必ずやるぞ」と呼びかけていた。しかも、その際に藤川自身が即座に「ついていきます」と明言していたというのだ。



 その事情について、本人は「つまり、そう言ったこと自体、『自分はまだまだだな』ということです。本当の意味での一流じゃないなと思いました」。アニキを筆頭に「打倒巨人」「日本一」をナインの合言葉にする中、独りだけメジャー入りを訴えようとするのは「人間的にダメなんじゃないか」と我に返ったというのだ。



 実は、金本も同じような経験をしている。



 2003年の日本シリーズ第7戦。ダイエー(現ソフトバンク)をあと一歩まで追い詰めながら敗れた試合後、当時内野守備走塁コーチだった岡田彰布前監督がナインを前に、涙を隠さず悔しさを露わにした。それを見て「何と熱い人なんや」と共鳴。その後、岡田政権の5年間、主砲を張ってみせた。



 もっとも、鬼より怖い金本に「ついていきます」と誓ったからには、全力投球は必須。その意味では「年俸4億円」も決して高くないと球団側はみている。



 「虎の宝やし、球界の宝。ここ4年(査定は投手陣の中で)ずっと1番」と明かすのは沼沢正二球団本部長。「抑えは先発や中継ぎのように、どれだけのイニングを投げたかではなく、評価するのは目的達成率」と査定担当は話す。



 何しろ、今季の藤川がレギュラーシーズンで登板した63試合のうち、目立った失敗は、敗戦投手になった5月4日の中日戦と、いったん同点を許して結局、勝ち投手になった8月28日の中日戦の2試合ぐらい。



 真弓明信監督も「それだけの働きをしていると思う。プロ野球の選手がしっかり働いて(給料を)もらうことは、周囲に夢を与える意味でいいんじゃないか」と認めている。



 同時に、藤川自身は「(日本一をメジャー行きの)ステップアップの引き金にするつもりはない」と明言しているものの、やはり胸にしまった最高のシナリオは〈来季の日本一奪取→再来年のメジャー移籍〉というのは間違いのないところ。大願成就となるか、WBCでの活躍も含めて来季が注目される。



【2008/12/17 ZAKZAK】
arrow
arrow
    全站熱搜

    ht31sho 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()