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洋画スターの写真掲載料の高騰も

 11月発売の2009年1月号で休刊が決まった集英社の映画月刊誌「ROADSHOW(ロードショー)」。なぜ苦境に追い込まれたのか。

 休刊が伝えられた1日に発売された10月号。表紙ではママになった米女優、ジェシカ・アルバ(27)が子供を抱き、独占スクープとして「ジョニー・デップ一家の夏休み」。女性洋画ファン狙いの王道だ。

 創刊は1972年3月。部数21万8000部でスタートし、83年2月号(82年12月発売)は映画「E.T.」の特集で35万5000部の最高部数を記録した。

 ライバル誌は、46年創刊の「SCREEN」(近代映画社発行)だが、「ROADSHOWは中高生から20代の女性洋画ファンがターゲット。SCREENはオールド・スターの特集を組むなど、年齢層の棲み分けはできていた」(映画ライター)

 だがここ数年、平均発行部数は5万部で推移。集英社は「インターネットやモバイルの比重が高まるにつれ、映画雑誌が置かれた状況は年々厳しくなり、部数、広告売り上げが減少傾向にあった」と説明する。

 記事を寄せていた映画評論家のおかむら良氏は「目新しいレイアウト、スターの写真の選び方も印刷の発色も良くて、ビジュアルで映画情報を楽しめる存在だったのに」と残念がる。

 SCREENの米崎明宏編集長も「ライバル誌と切磋琢磨してやってきた。ウチだけが残るというのは重責を感じる。活字で情報を伝える媒体にとって人ごとではない」と胸中は複雑だ。SCREENは休刊を検討したことがないというが「映画は映画会社が全面的に権利を持っていて、映画誌がネットで収益を上げる具体的な方法はこれといってない」と事情を語る。

 洋画自体も変わってきた。創刊18年目の映画誌「FLIX」(ビジネス社)の松下元綱編集長が打ち明ける。

 「スター不足が痛い。デップも飽きられてきた。ROADSHOWの表紙がアルバなのは苦境の象徴だろう。ハリウッドがスターに頼った映画作りをやめ、かつて人気だったスターも50歳近くになった。洋画スターの写真掲載料の高騰も痛い。同じ写真しかないから変化が付けられない」

 このため、同誌は今年から編集方針を変え、邦画を手厚く紹介する。「『花より男子』が象徴するように今は邦画ブーム。邦画なら取材も手厚くでき、いい写真も手に入る。そもそも、若い世代は洋画、邦画の区分をしていないんです」(松下編集長)

 当のROADSHOWは「コメントは差し控えたい」とし、ショックの大きさがうかがえた。

【2008/9/4 ZAKZAK】
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