ヤンキースのイチローが、田口の現役引退について口を開いた。91年ドラフトでオリックスに同期入団。イチローが01年にマリナーズに移籍するまで9年間チームメートで、この間日本一1度、リーグ優勝2度を果たすなど、ともに主力として古巣の黄金期を引っ張った。「寂しいですね。あの人、明るくするから余計に寂しくなる」と話した。

 田口が4歳上だが、ともに入団から2年間は2軍暮らしが続いた。寮で寝食をともにした仲で「よく三宮に行って、プライベートでの思い出が田口さんとはたくさんあるね」と懐かしんだ。もちろん、グラウンド上での思い出も尽きない。「お互い同期で意識してやっていた」といい、鉄壁の右中間コンビとして名をはせた。さらに「最もやりやすいセンターでした。アイコンタクトだけでいろんな情報が入ってくる。そういうセンターでした」と話した。語り草となっているのは96年10月24日、巨人との日本シリーズ第5戦。仰木監督の猛抗議によるプレー中断中に、左翼の田口とそれぞれの定位置間でキャッチボールを開始。2人の地をはうような力強い遠投は、イチローと田口の名を全国に知らしめた。

 7月23日にヤ軍に移籍が決まった際には伝言メッセージをもらい、その後電話で話したという。「“頑張って”と。普通のメッセージだったですけどね」。その声のトーンは、最後まで寂しげだった。


【2012/9/11 スポニチ】
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