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阪神虎迷是很容易幸福的,
只要看到自己球隊培育出的年輕選手在場上活躍,
我們就會非常開心

#生え抜きのスターをずっと待っているんです
#這篇太讚啦

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どれだけ負けても、野球は楽しめる。阪神ファンの人生が幸せな理由。

文/鈴木忠平

 タイガースファンは長く待った春到来の予感があることだろう。セ・リーグは昨季王者・広島との一騎打ちの様相を呈しており、気温の上昇とともにもっと熱くなりそうだ。

 前回優勝したのは2005年。ファンはじつに12年間も歓喜から遠ざかってきた。その間に甲子園球場はリニューアルされ、阪神電車から続くスタジアムへの道も整備された。今年に入って長く親しまれたダイエー甲子園店の閉店もニュースになった。

 スポーツビジネスの発展とともにタイガースを取り巻く環境も様変わりした。それとともにファンの在り方も変わってきたように映る。

 スタンドに足を運ぶ理由は勝利か、質の高いサービスか。他球団や他のスポーツでも同様だが、ドライな判断が伴うようになってきた。ただ、その中で虎党にはずっと変わらないものがあるような気がする。そこにこのチームの幸せがあるような……。

 野田裕治(55)は兵庫県芦屋駅前で70年続く老舗美容室「グランディール・ドゥ・ワカクサ」の三代目だ。タイガースファンになったのは40数年前、中学で野球を始めた時、近所の野球教室で村山実に出会って以来のことだ。

「まだサンテレビがタイガース戦の中継を始める前でね。テレビつけても巨人戦しかやっていなかった時代ですよ」

掛布、岡田、バース。やってきたお祭りの時代。

 やがて野田はライトスタンド最前列の主となる。応援団「狂虎会」の一員になったのだ。まだ外野席が900円だった時代、甲子園で試合がある日はほとんど足を運んだ。

 若き掛布雅之、岡田彰布が打席に入る。ランディ・バースが悠然と構える。法被をまとった野田はそのグラウンドに背を向け、熱狂するライトスタンドを向いて手を叩いていた。

「味方の攻撃の時はスタンドを向いていたし、相手チームの攻撃の時は通路でビールを飲んでいた。だから何対何で、どっちが勝っているかなんてわからんかった。どっちでも良かったんですよ。お祭りでしたね」

 そして1985年、タイガースは沸騰した。バックスクリーン3連発、リーグ制覇、日本一。その祭りのど真ん中に野田もいた。

暗黒時代もホームランを楽しみに球場へ通った。

 それと同時に、その翌年から始まった暗黒時代の真っ只中にもいた……。人生最大の祭りが終わった後は長く長く怒号とヤジがライトスタンドを支配した。一瞬の勝利と延々と続く敗北。それでも、黄色に染まったライトスタンドで手を叩き続けた野田が毎日、最も楽しみにしていたのは勝ち負けではなかったという。

「ホームランですよ。生え抜きの大砲が打つホームラン。そりゃあ負けたら荒むけど、その1本があれば負けても酒を飲めた」

 グラウンドに背を向けて声を張り上げている野田に打球音が教えてくれる。振り向くと大歓声の中を白球がこちらに向かってくる。今も脳裏に焼き付いて離れないのは、かすかな希望を見せてくれる1本のホームランなのだ。

 かつて相手チームの攻撃になると、狭い通路が男たちでひしめき、タバコの煙でスタジアム全体が霧に覆われたようになった甲子園は今、喫煙ブースが設けられ、シートも綺麗になった。

 男たちがひしめいていた通路は広くなり、ピンク色の女性客が目立つようになった。「お祭り」は「イベント」になった。スタンドの景色も、そこにいる虎党たちの有り様もかつてとは変わった。

 ただ、甲子園を埋める5万人の奥の奥には時代を経ても変わらないものが確かにある。

「俺たちは負けてるから怒ってるわけやないよ」

 3年前、まだスポーツ新聞の番記者をやっていた時、タイガースが大型連敗を喫して優勝争いから脱落していく最中、締め切り間際に記者席を抜け出してスタンドに潜り込んだことがある。毎日続く負け原稿に限界を感じ、どう書いていいのかわからなくなったからだ。

 混沌のスタンド。虎柄の法被を着た40代の男性が、彷徨う記者に向き合ってくれた。

「俺たちは負けてるから怒ってるわけやないよ。俺たちは弱かった頃から応援しているから。負けても応援するよ。ただ生え抜きを使わずにFAで獲った選手や、外国人ばっかりに頼って、それで負けるのは我慢できんのよ」

 根底にあったものは野田と同じだった。どれだけ負けても、決して失われないものを彼らは持っていた。

 今シーズンは糸井嘉男をFAで獲得した。桧山進次郎や新庄剛志が4番を打っていた時代とは補強費も比べものにならないだろう。

 ただ、球団を動かしているフロントだって暗黒時代に下積みをしてきた男たちだ。休みは正月だけ。阪神電鉄の社員にもかかわらず、選手と同じグラウンドに立ち、キャンプの練習中はベンチ前で声を出し、夜にはスナックのカウンターに立って監督や首脳陣に水割りをつくった。そういう男たちが今、球団を動かしている。

 勝っても負ける。負けてもいつかまた勝てる。まるで人生の真理をわかっているかのように、勝敗とは別のところにその身を捧げて、泣き笑う。やはりタイガースと深く関わってきた人たちの根っこは同じに見える。

勝っても負けても、阪神ファンはそれを包み込む。

 今、野田が甲子園に足を運ぶのは年に10回程度になった。

「店の方が忙しくなったということもあるし、若い頃は朝から球場に行くことばっかり考えとったけど、そうもいかないでしょう。高揚感やエネルギーって年齢とともに薄れてきますし。昔はみんなでワイワイやっていたけど、今は1人でガッツポーズしてますわ」

 かつて、その手に握っていた太鼓が今は小さなメガホンになった。陣取る場所もライトスタンドから内野席になった。それでも求めているものはあの頃と変わらない。

「やっぱり中谷や原口のホームランが出たらうれしい。生え抜きのスターをずっと待っているんです。金本さんが来て、タイガースは強くなった。その金本さんが今度は生え抜きの大砲を育てようとしてくれている。だから3年間は誰も金本さんの悪口は言わへんのちゃうかな(笑)」

 今年のタイガースはどうなるだろう。勝つかもしれない。負けるかもしれない。日ごと渦巻く喜怒哀楽のうねりの中で、そのどちらも包み込むように見守っている人たちがいる。だから阪神タイガースとそれを取り巻く人たちの人生は、他のそれよりもちょっぴり幸せそうに映るのかもしれない。

[2017/6/12 Number Web]

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